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リノ・ボートという考え方

YAMAHA RENO BOAT 27

PC-27ベースのリノ・ボート27。PC-27は1990~1997年の間ラインナップされていたモデルです。リノ・ボート27の200馬力(プロペラ軸190馬力)2基掛けは当時の最大出力モデルよりも強力で、その航走感はきわめて爽快。オフショア向きに設計されたハルの能力を目いっぱい引き出しています

RENO BOAT 27 速度計測グラフ
全長 9.72m(パルピット、スイムプラットフォーム含む)
ハル長 8.17m
全幅 2.92m
重量 2,450kg(艇体のみ)
エンジン Volvo Penta D3-200/DPS
(200PS/147kW)×2
燃料搭載量 450L
定員 12名
航行区域 沿海

このクラスでジョイスティックコントロールは、少しぜいたくかもしれません。フネが傾いているのがわかりますが、これは、大きな横向きの推力がロールセンターより下で発生しているため


D3-200は当時のAQAD31などより小さいのですが、高さが高いことと、両舷のドライブ間隔を広げたため(ジョイスティックコントロールのため)、ハッチぎりぎりになっています


試乗艇のインテリアの変更点は、床とシートの表皮くらいですが、オリジナルとはかなり異なる印象です。固定式だったテーブルを取り去っただけで、ずいぶん広々とした雰囲気になりました


リノ・ボートは中古艇ではありますが、エンジンに関してはより新しい世代のものを搭載することが前提ですし、艇体は細かいところまでチェックされ、必要に応じて補修やパーツの交換が行われます。また、インテリアについては、基本的な造作はそのままですが、ファブリックや床材などを変更することはできますから、凝った素材で高級な仕上げにすることも、逆に、本来のものよりシンプルにすることも可能です。どちらにしても、インテリアの印象を大きく左右する部分は変更されるわけです。
その結果、このリノ・ボートは新艇ではありませんが、まったくの中古艇でもないという、新しいカテゴリーに位置付けられることになります。
中古艇というのは、イコールコンディションではありません。たとえ年式や仕様が同じでも、その状態はさまざまで、それによって中古艇としての価値(価格)は違います。また、もともとの状態が悪くても、中古艇業者の整備次第で、価値が高まることもありますし、その逆もあります。中古艇の市場価格相場は、そういうきわめて不確実な要素によって決定されているわけです。
しかし、リノ・ボートの場合、新艇並みとはいかないにしても、そのコンディションのバラつきをかなりのレベルまで抑えることができるはずですから、一般の中古艇に比べれば、より安定した評価を得ることができるわけですし、ひいては、そのベースボートに対する評価やビルダーに対する評価にも影響を与えることになるはずです。
確かに、リノ・ボートを一般の中古艇と比べると、「商品」として仕上げるための作業量は比較にならないほど多いはずです。また、補修やパーツ交換に要するコストも相当なものになるでしょう。
ヤマハ発動機 国内マリン第1営業部エンジングループのグループリーダー、中村光貴氏。試乗時、リノ・ボートのプロジェクトについてのさまざまなお話を伺うことができました
もちろんエンジンは新品になるわけですから、その価格も考えなければなりません。当然、それらが最終的な船価を押し上げることにはなりますが、どのボートを取り上げても、その船価に値するだけの品質が保たれているならば、その「リノ・ボート相場」を市場が認める可能性は高いはずです。
そのためには、リノ・ボートのベースとなる中古艇のチェック項目やその評価基準から、具体的な作業方法、使用部品や素材、さらには完成したリノ・ボートのテスト方法に至るまでを標準化し、リノ・ボートを生み出す過程そのものの均質化を図ることが重要になってきます。ビルダー自身がそれを行うことのメリットは、まさにそこにあるわけで、通常、第三者では入手できない設計・建造時のデータや市場からの豊富なフィードバックが、あらゆる段階の標準化において、その内容を決定する大切な要素になるはずです。
本文でも触れているように、現在のところ、リノ・ボートとして販売されるのは、PC-27ベースのリノ・ボート27と、SC-32ベースのリノ・ボート32の2艇種のみですが、将来的には、もう少し幅広いモデルに対応していくようです。もちろん、エンジンを新世代のものにするという前提がありますから、あまりにも価格の低いものでは成り立ちませんが、このシステムが軌道に乗れば、将来的にはスターンドライブ艇の船外機仕様化や、インボードエンジン艇のポッドドライブ化なども可能になるのではないかという気がします。
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